残像時代 中村靖日_blog

weblog by yasuhi nakamura

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【日々記】 たくさん しゃべりたかったんだよ。



幼馴染みが 亡くなった。



不器用だけれど 優しくて いいやつだった。
長い間 連絡をとっていなかった。
亡くなって初めて 病気を患っていたと知らされる。

去年の夏 ほんとうに久しぶりの連絡をもらった。
たった一行のメール。

"また いつでも逢える"
そう思っているうちに また時間が過ぎた。

"また いつでも" なんて あるとは限らないよ。

だから その時は ちゃんと伝えられる人に なりたいよ。

どうぞ 安らかに。


*


幼馴染みが亡くなった朝。
そんなこと知るはずもなく 夢にも思わなかった朝。夢をみた。


ぼくは子供だ。小学校で 美術の授業中だ。
けれども生徒は子供だけでなく 大人やお年寄りの姿もある。
そして教室は アフリカのサバナだ!やったぜ。
青空の下で 大地に ただ椅子が三十脚ほど並んでいるだけの教室。
屋根もない。壁もない。どこまでも広く 気持ちがいい。

「きょうは お友達の似顔絵を描きましょう」若い女性の先生が言う。

黙々と描いてるうちに ぼくの画用紙は
どういうわけだか 入道雲のように むくむくと高く ふくれあがり
極彩色の なんともよく分からない形をした 彫刻になる。
画用紙から入道雲がたちのぼるような ふくらみかた。

トカゲのようにもみえる。ゴリラのようにもみえる。
人間のようには… ちょっとみえない。こりゃ なんじゃい?うはは。
かろうじて台座のように残った画用紙の はじっこへ
似顔絵のモデルとなった友達の名前を書きつける。

『芦沢』(そんな名前の友達は 実在しない)

まわりを見ると みんなそれぞれ個性的な いい似顔絵を描き上げている。
みんな絵がうまいもんだな と嬉しくなる。
むくむくした入道雲状の極彩色なんて 他の子は誰も描いてない。
けれどぼくの絵だって なかなかよく描けてるやろ?

ひとりひとり 教室の前に立ち 絵を発表することになる。
みんな 自分の描いた絵について ああだこうだ たのしげに説明する。

ぼくの順番になる。
「これは芦沢です」みんなの前で そう言ったところで
「はいはい よく描けましたね。では 次の人」と先生に止められる。
先生は笑顔だけれど 心のなかでは冷ややかだ。
(この むくむくふくらんだものは 絵ではありませんよ と)
ぼくの 極彩色の芦沢が まったくお気に召さないようだ。

なんで駄目なんやろ?分からん。
ぼくにはこの 極彩色で入道雲状の似顔絵は なかなか傑作に思えるよ。
だから 存在しない友達 芦沢の似顔絵についてみんなの前で
もっともっと しゃべりたかった。

たくさん しゃべりたかったんだよ。

まあ ええか。
なんか くたびれたし。とりあえず昼寝でも しよ。

夢のなかで まどろむ。

大地が 気持ちいい。

青空が 気持ちいい。

陽光が 気持ちいい。


これで いいのだ。


  1. 2007/05/31(木) 23:49:51|
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