残像時代 中村靖日_blog

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『寵姫ズムルン』



アテネ・フランセ文化センターで開催中の『特集 ドイツ映画史縦断1919-1980』で、エルンスト・ルビッチ監督の初期作品『寵姫ズムルン』(1920)を観た。かつて淀川長治さんがルビッチにまつわる対談でこの『寵姫ズムルン』に触れていて、長い間ずっと気になっていた作品。上映ぎりぎりにアテネ・フランセへ駆け込むと、前列から後列まで客席はびっしり埋まっていて、シネマテークっぽい静かな熱が漂っている。こういった空気へ足を踏み込むのは久しぶりのこと。奇跡的にとても良い席が1つ空いていた。古い知り合いが何人か来場していて数年ぶりの再会も。

エルンスト・ルビッチは恋愛コメディ映画の礎を築いた映画監督の1人。学生時代に観た『生きるべきか死ぬべきか』(1942)が衝撃的な面白さで、彼の作品を次から次へむさぼるように観た。フレーム内における人物の位置関係や交差する視線などの技巧を駆使し、男女の色恋沙汰をエロティックな笑いで彩りながらエレガントかつスマートな都会的コメディを練り上げる彼の演出法はルビッチ・タッチと呼ばれる。

ルビッチの才能はハリウッドへ招かれた1920年代以降に大きく開花したと言われる。ドイツ時代の作品である『寵姫ズムルン』は確かに洗練の域へはまだ遠いものの、男女の情愛を軸として複雑に交錯する人物関係を綴った悲喜劇にルビッチ・タッチの萌芽をみた。特筆すべきは舞台俳優であったルビッチその人が、重要な役柄であるせむしの道化師として出演していること。仮死状態から覚醒し足をふらつかせて立ち続けようとするダンスのような動きがあまりに可笑しくて、思わず噴き出してしまった。

終映後、大学時代からの友人Nノに声を掛けられる。そもそも『寵姫ズムルン』の上映があると当日の午後にメールをくれたのは彼だったのだが、来てたとは露知らず。たまにメシを食ったりする仲なので、まあもしアテネで会えたらその時にという感じになっていた。おたがい用事が立て込んでいて観に行けるか微妙だったし。お茶の水、神保町界隈にぼくはまるで疎いけど、Nノはライターをしてる美術誌の編集部が神保町にあるので案内してもらう。野らぼーでうどんを食べ、侯孝賢の映画『珈琲時光』(2003)に登場する珈琲エリカでコーヒーを飲もうと足を運ぶがぎりぎり閉店後。でも入り口からちょこっと店内をのぞいてみた。また機会を作って行ってみたい。『珈琲時光』も素晴らしい作品。去年劇場で観た映画のベスト10に間違いなくランクイン。神保町駅まで歩いてさぼうるでお茶。ルビッチに侯孝賢、果ては『タモリ倶楽部』や『恋のから騒ぎ』を縦断する馬鹿話で盛り上がる。気持ちに余裕の無い日だったから、映画も会話もいい気晴らしとなった。そういえば『空耳アワー』に出そうと思ってるネタがあるので早く応募しなきゃ。
  1. 2005/11/11(金) 01:43:54|
  2. 感想
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:4
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コメント

Re:

そうですか、『生きるべきか…』無いですか。
こっちでは割と色々な作品がレンタルされてるのですが。。
セル買わなくても、まずレンタルでご覧になった方がいいかと。
『街角』と『ニノチカ』なら、前者の方が個人的にはオススメかも。
『アパートの…』のビリー・ワイルダー監督は、ルビッチの弟子です。
オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンロー主演の映画など、
日本ではワイルダーの方が多く知られてる印象ですよね。

小島麻由美さん、
『二十歳の恋』『セシルカットブルース』等々の曲タイトルからも
やはり映画お好きなんじゃないですかね。
  1. 2005/11/14(月) 03:27:18 |
  2. URL |
  3. ysh #zRol3RE6
  4. [ 編集]

今日レンタルやさんはしごしましたが、
『街角』と『ニノチカ』がありました。
『生きるべきか…』がどうしてもなくって残念。ほかのも見てみたいです。
なので代わりに?前にブログで書いてはった『アパートの鍵貸します』を借りてみました。

『極楽特急』てタイトルにも魅かれます。
私の大好きな小島麻由美さんの曲に、「恋の極楽特急」てのがあるのです。
何か関係あったりするのかな。

エリカではやっぱりコーヒーを飲みました。
神保町からちょっとだけ離れたところにももう一軒エリカがあって、
そちらも雰囲気がよかったです。
ロザリオとかミロンガとかもヨカッタ覚えがアリマス

京都にも多いですね確かに。
オープンなカフェが苦手なので助かりますエヘ



  1. 2005/11/12(土) 23:36:40 |
  2. URL |
  3. アカシ #-
  4. [ 編集]

Re:

珈琲エリカ、先を越されてたかー(笑)。
やはりコーヒーを飲んだのでしょうか。
京都にもああいった雰囲気の喫茶店は多そうだね。

『生きるべきか死ぬべきか』のリメイクとして
『メル・ブルックスの大脱走』(1983)の他に
フランソワ・トリュフォー監督の『終電車』(1980)がありますが、
基本的には別モノかと思います。

初めてルビッチを観るなら やはり
『生きるべきか…』がいいと思いますヨ。
他に、比較的レンタル等で見つけやすそうなのは
『天使』(1937)、『天国は待ってくれる』(1943)かな。
『生きるべきか…』と『天使』はビデオを持ってます。

1992年に『ルビッチ生誕100年祭』の特集上映があって、
その時に観た『極楽特急』(1932)、『生活の設計』(1933)
の2本も かなり面白かった!です。
でも観たのはその1度きりなので、やや記憶が曖昧(^^;)。
さっき、その特集上映のパンフを久しぶりに出してきて、
シナリオが採録されてるので読み直してみようっと。
  1. 2005/11/12(土) 02:58:06 |
  2. URL |
  3. ysh #zRol3RE6
  4. [ 編集]

「メルブルックスの大脱走」見ました。
違う大脱走シリーズを買おうとして間違った結果なのですけど。
それがすごくおもしろくて。で、後になって知ったんですが、
これって「生きるべきか死ぬべきか」のリメイクなんですね。
原作はルビッチ・タッチで溢れてるんでしょうか。
ルビッチ、すごく見たくなってきました。
今日ビデオやさんに走ります。

エリカ、何度か行きましたよ。遠方から、先取りです^^
  1. 2005/11/11(金) 09:34:20 |
  2. URL |
  3. アカスィ #-
  4. [ 編集]

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