週が明けてあたらしいCMの撮影だった。はじめてご一緒する監督さんに指名いただいた仕事で、スタッフもはじめましての方々ばかり、スタジオもはじめての場所。つながって広がってゆく、たくさんのはじめましてに感謝。
撮了後に都心へ戻り、ひと月前には満開の桜を眺めたある道を歩いてみる。もうすっかり葉桜だ。今年の春も友人や仕事関係のみなさまからいくつかお花見へ誘われて、あちらこちら桜の名所へと足を運んだ。咲き誇る花が水面に映るさまを見るといつも、ぼくが育った場所の、気がつけば十五年間見ていないあの桜のことを懐かしく思い出す。
小学2年から高校卒業までを関西で過ごした全寮制の学校、その広大な敷地と周辺には一千本を下らない桜が植わっていて、春になると薄桃色の情景がどこまでもどこまでも続いた。あれほどたくさんの美しい桜をよそで見たことはない。どういうわけだろう、満開のころよりも風に散ってゆく花や、土や池の水面へたまり朽ちてゆく花をきれいだと幼心に感じた。そうやって還り、めぐってゆくのだと知った。そして花の盛りよりむしろ葉桜のころ、あたたかい陽光に輝く葉桜にいちばん胸が躍った。それはいまも変わらない。
20代の終わりごろ、ひとりでどうしようもない夜になぜか繰り返しよく見た夢がある。あの校舎の教室の夢だ。けれど仲良しのあいつらや好きだった女の子、先生たち、誰の姿も無くてしんと静まっている。そこへはただ葉桜のころの陽光が射し込んでいる。あたたかい夢。このごろはその夢を見ることも無くなった。もちろん、ひとりでどうしようもない夜は相も変わらずあるけれど、あのころもこれからも、あたらしいことやはじめましてにいつだって胸を躍らせているんだよ。すべてはすすんでいく。そうして葉桜のころはまたやって来て、めぐる。
- 2006/04/27(木) 16:09:35|
- 日々記
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対応いただいたみなさま、ありがとうございました。
宮崎のNさま、リンクについてご確認いただけたでしょうか…?
http://yasuhi.blog11.fc2.com/blog-entry-32.htmlこちらをお読みいただいたら再度、メールフォームよりご連絡いただければ幸いです<(._.)>
- 2006/04/27(木) 16:14:11 |
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